内向型は「開拓者」だった⁉ 内向型のイメージがひっくり返る本

内向型外向型という言葉を初めて耳にした時、自分はすごく内向型に当てはまるなと自覚しました。

その人の特性で、内向型には強みがあると言われても、少数派なためか、何となく生きづらさを感じてしまう。かといって、この性格を変えられそうにもない。

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・内向型な性格のままで、これを強みにしたい。

・どうやったら内向型を活かせるのか、活かせる場所を知りたい。

 

そんな思いで、中村あやえもん著「内向型の生き方戦略」を今回読んでみました。

 

内向型の生き方戦略―「社会から出て、境地を開拓する」という生き方提案

 

 

内向型と外向型の違いについて

そもそも何故こういった性格の違いがでるのか、刺激への感度が違うのだそうです。

脳内の興奮物質が少しの量で充分な人もいれば、多量であるほど心地よい人もいます。

 

内向型 少しの興奮物質が心地よい 多いと不快

外向型 多くの興奮物質が心地よい 少ないと不快

 

内向型がこの特性を活かし、心地よくいられるライフスタイルを本書では紹介しています。それが「境地を開拓する」という生き方。

本書では内向型を「境地開拓型」と呼んでいます。

 

 

生命の個体は2つの役割を持つ

生命誕生からこれまで、あらゆる生物が大きく分けて2つの特徴を有し繁栄してきました。

 

1つが生存拠点(安住の地)を維持しつつ生命をつなぐもの 外向型

もう1つが新たな環境に進出し、進化を遂げて適応するもの 内向型

 

この2つの役割が生息域を広げました。

これはどちらか一方のみの種では絶滅しやすくなります。人も同じでその割合がおよそ8:2(外向型:内向型)になるのだそう。

 

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社会の中での内向型、外向型

先ほどの説明に合った、生存拠点が人間にとっての社会になります。この社会を維持しようと動く個体が外向型、本書では「社会維持型」と呼んでいます。

 

社会維持型の特徴

  • 種の保持、個体数の維持が目的となりやすく、その土地やコミュニティを愛し、結婚や子育てが最重要になる。
  • 多くの人が暮らすので、いかにルールを守れるかが重要になる。自由に出来ない中では、刺激に鈍く、ストレスに強い方がルールを守りやすい。我慢が出来る人が尊重される。
  • 自分を変えるよりも声を大にして、周りを変える。社会全体に脅威となるもの(影響力のある事件やスキャンダル等)を批判し社会全体を変える。

 

境地開拓型の特徴

  • 基本的に境地は危険な場所になるので、ストレスやリスクに敏感に反応できる方が生き残りやすい。
  • 新たな価値、生き方をその都度、創造できる者が有利。
  • 環境は変えようが無いため、周りではなく自分を変化させ適応する。

 

 

社会の中での境地開拓型

まず比率が8:2なので境地開拓型は「異常」になりやすいです。

さらに両者の特徴を見てもわかるように、周囲の社会維持型からの批判には、相手の言うことがおかしいとはならず、自分が悪い、自分を変えなきゃと考えてしまいやすくなります。

 

境地開拓型        社会維持型

自分が変わろう     ←相手を変えよう

新しい創造は辞めよう ←今あるルールを守れ

敏感に要求を察知    ← 我慢しろ

 

これは家族間でも起こりやすいそうです。ていうかウチがそうでした。

社会維持型の親の期待に応えようと自分を変えようとして、結局できずに苦しみました。

 

社会には社会維持型向けの教えがあふれています。当たり前ですよね、社会で生きていく方法なんですから。

境地開拓型はこれらも受け取りやすくなってしまいます。

何事もポジティブに考え、積極的に多くの人と付き合い、安定した職につき子育てをする。

こういった社会維持型の幸せを求めても、境地開拓型は満足をすることは難しいのだそうです。

 

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境地に出よう

境地とはどういう場所なのか? 本書では「社会から少し離れた、同種のいない場所」

とあります。なにも山奥や離島というわけではなく、都市レベルで見れば都心から離れた郊外であったり、また物理的な場所だけではなく、思想やライフスタイルなんかも含まれます。

 

社会維持型の成功像は我慢比べのポジション争いの末、手に入れることが出来ます。

学歴、企業、役職など  →社会の内側へ

 

これらの成功像に満足しづらく、また我慢比べに向いていない境地開拓型は、自分の好きな、自分にしかできない新しいものや考え方を発見し、新たな環境を開拓することが、境地開拓型にとっての成功像なのです。  →社会の外側へ

 

 

失敗しても良い場所

境地ではお金や物がありすぎると、重荷になってしまいます。お金や物は社会の中心に向かうほどより効果を発揮するものです。

 

境地では、個人か小規模のチーム、活動が基本となります。

これは言い換えれば、失敗による損失が少ないということ。かつ1度の成功、発見による利益が大きいのです。

 

失敗によるダメージが少なくなるよう、極力身軽でありながら、まだ見ぬ価値を探り、試行錯誤を繰り返していくため、何度も失敗をしても良い環境ということになります。

 

 

気を付けたいのが、社会での成功を待ってから境地に出ようとするのは危険であるということ。先ほど述べたように、お金や物、地位もそうですが、これらが増えると重荷になるということに加え、社会での我慢比べに向いてない中で、成功を待っている間に老いていき、やりたいことが出来ずに終わってしまうリスクがあるのです。

 

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社会からの声はスルーしましょう

境地へ向かおうとする際や、すでに活動を始めている時に社会維持型からの横やりや、水を差す意見などがあると思います。基本的に社会では、「まだ価値のないもの」は恐怖でしかないので。出る杭を打とうとしてくる事もあります。

 

成果だけを与えればよいので、無駄だと思った人間関係は手放してしまいましょう。

罪悪感を抱くことはありません。

 

さっさと手放してしまった方がよいのは、自分の活動においても同じです。

開拓出来そうになかったり、飽きて好奇心がなくなったりした時には素早く撤退しましょう。「方向性」や「気分」を大事にしましょう。

 

 

 

 

好奇心に従った時、最大の幸福が訪れる

 

本書で、境地開拓型は人々に新たなライフスタイルを提供する役割を持った、開拓者なのだと説明されていました。

僕はこの生存戦略を選ぶことにします。

 

この本を読み終えたとき、「内向型」そして「内向型だった自分」のイメージが180度変わりました。周りとうまく馴染むために、無理やり自分を変えるよりも、この性格の方が強みを発揮できる場所がある。それを探っていく方が幸福に近づける。

 

僕にとっては、人生1週目で気づくか気づかないかレベルのことを、この本が教えてくれた気がします。手遅れになる前で良かった。

 

ずいぶん我慢して遠回りしたような気がするけれど、自由と好奇心のコンパスに気づかせてくれたこの本にとても感謝しています。

 

 

 

*内向型、外向型の特徴などを説明してきましたが、すべての人に当てはまるわけではなく、また完全に2分出来るものでもありません。

必ずこうなるというものではなく、相対的なものであり言わば度合いです。両方の特徴を有することもあり、どちらかが表面化するかは、環境の変化にも影響を受けるそうです。